不動産クラウドファンディング(不動産クラファン)で分配金を受け取ったら、確定申告は必要なのでしょうか。結論は、あなたの立場と年間の金額によって変わります。
この記事では、申告が必要なケースの見分け方から雑所得の計算方法までを解説します。必要書類とe-Tax(国税庁のオンライン申告システム)での申告手順、会社員の年末調整との関係もあわせて確認できます。
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あなたに該当するケースを確認しよう
確定申告が必要かどうかは、実はそれほど複雑ではありません。あなたの立場と、年間の分配金の金額を確認すれば判断できます。
| 立場 | 給与・年金以外の所得 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 会社員(給与所得者) | 20万円以下 | 不要(住民税の申告は必要) |
| 会社員(給与所得者) | 20万円超 | 必要 |
| 自営業・フリーランス | 金額にかかわらず | 必要 |
| 年金受給者 | 年金400万円以下かつ他の所得20万円以下 | 不要(住民税の申告は必要) |
| 年金受給者 | 上記以外 | 必要 |
表の「20万円」は、複数のサービスの分配金をすべて合算した金額で判定します。他の雑所得(給与や事業以外の副収入をまとめた所得区分)も合算対象です。1つのサービスだけで判断しないよう注意しましょう。
Q. 分配金が20万円以下なら、本当に何もしなくていい?
A. 所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別途必要です。所得税の「20万円以下は申告不要」というルールは、住民税には適用されません。
住民税の申告を忘れると、後から追徴される可能性があります。お住まいの市区町村役場で、忘れずに手続きしてください。
確定申告が必要な人・不要な人を職業別にくわしく見る
先ほどの表をもう少し詳しく見ていきましょう。あなたの職業に合わせて、当てはまるケースを確認してください。
ケースA: 会社員(給与所得者)の場合
会社員の方は、給与以外の所得が年間20万円以下であれば確定申告は不要です。これは所得税法第121条に基づくルールで、「少額の副収入まで申告させるのは煩雑すぎる」という趣旨で設けられています。
COZUCHI、CREAL、利回りくんなど複数のサービスに投資している場合は、すべての分配金を合算して判定します。COZUCHIで8万円、CREALで6万円、利回りくんで5万円なら、合計19万円で確定申告は不要です。
副業収入や暗号資産(仮想通貨)の利益なども雑所得に該当します。不動産クラファンの分配金15万円と暗号資産の利益10万円を合算すると25万円になり、この場合は確定申告が必要になります。
ケースB: 自営業・フリーランスの場合
自営業やフリーランスの方は、もともと事業所得の確定申告を行っていますよね。不動産クラファンの分配金は、金額にかかわらず雑所得として一緒に申告してください。
基礎控除(所得から一律で差し引かれる、誰でも使える控除)は48万円です。事業収入と分配金を合算した所得がこれを超える場合は、所得税がかかります。
ケースC: 年金受給者の場合
年金受給者の方は、年金以外の所得が年間20万円以下であれば確定申告は不要です。ただし、公的年金等の収入が400万円を超える場合、この例外は適用されません。
雑所得の計算方法を具体例で確認しよう
不動産クラファンの分配金は、税務上「雑所得」として扱われます。「不動産」と名前がついていますが、不動産所得ではない点に注意してください。
不動産クラファンの多くは、匿名組合契約という仕組みを採用しています。これは、投資家がお金を出し、運営会社が事業を行って利益を分配する契約です。
投資家は不動産を直接所有せず、事業の利益分配を受ける立場になります。そのため、不動産所得ではなく雑所得として扱われるんですね。
雑所得の計算式はシンプルです。「雑所得=総収入金額-必要経費」という式になります。ただし不動産クラファンでは、経費と認められるものがほとんどありません。そのため実質的には分配金の合計額がそのまま雑所得になります。
【計算例】Aさんは、COZUCHIで案件Aから3万円、案件Bから1万2,000円の分配金を受け取りました。雑所得は「3万円+1万2,000円=4万2,000円」です。
複数サービスを使っている場合も考え方は同じです。Bさんは、COZUCHIで8万円、CREALで4万5,000円、利回り不動産で3万5,000円を受け取りました。雑所得は合計16万円になります。
源泉徴収された税金の扱い
多くのサービスでは、分配金の支払い時に源泉徴収(受け取る前に税金があらかじめ差し引かれる仕組み)が行われます。税率は20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)です。実際に振り込まれる金額は「分配金×79.58%」になります。
たとえば分配金10万円の場合、源泉徴収額は約2万420円。実際の受取額は7万9,580円になります。
ここがポイントです。あなたの所得税率が20%より低ければ、確定申告をすることで払いすぎた分の差額が還付(返金)されるかもしれません。課税所得が330万円以下の方は、税率が10%以下なので還付の対象になりやすいでしょう。
Q. 元本が返ってきた場合、税金はかかりますか?
A. かかりません。元本の返還は「利益」ではないため、課税対象にはならないんです。税金がかかるのは、分配金(利益)の部分だけです。
Q. 損失が出た場合、他の所得と相殺できますか?
A. 原則としてできません。雑所得の損失は、給与所得など他の所得と損益通算(ある所得の損失を、他の所得の利益と相殺すること)ができないためです。同じ年の他の雑所得とは相殺できます。
確定申告に必要な書類一覧
「何を用意すればいいの?」という疑問に答えます。職業別に必要な書類を整理しました。
| 職業 | 必須書類 | 追加で必要な書類 |
|---|---|---|
| 会社員 | 年間取引報告書、源泉徴収票 | マイナンバーカード、還付金受取口座の情報 |
| 自営業・フリーランス | 年間取引報告書、帳簿類 | 経費の領収書、マイナンバーカード |
| 年金受給者 | 年間取引報告書、公的年金等の源泉徴収票 | マイナンバーカード |
どのケースでも必須なのが「年間取引報告書」です。各サービスから発行される書類で、1年間の分配金や源泉徴収額がまとめて記載されています。学校の通知表のようなものだと考えるとわかりやすいですね。
各サービスの年間取引報告書の取得方法
COZUCHI
マイページの「取引履歴」→「年間取引報告書」からPDFをダウンロードできます。毎年1月下旬に発行されます。
CREAL
マイページの「資産管理」→「年間取引報告書」から取得できます。1月中旬〜下旬にマイページへ反映されます。
利回りくん
マイページの「投資状況」→「年間取引報告書」からダウンロード可能です。1月下旬〜2月上旬に発行されます。
その他のサービス
ほとんどのサービスで、マイページの「お知らせ」や「各種書類」メニューからダウンロードできます。操作に迷ったら、各サービスのヘルプページを確認してください。
Q. 年間取引報告書がマイページに見当たらない場合は?
A. まず通知メールが迷惑メールフォルダに入っていないか確認しましょう。マイページの「お知らせ」欄にも見当たらない場合は、サービスの問い合わせ窓口に連絡してください。発行が遅れているだけのこともあります。
e-Taxでの申告手順をステップで確認
「e-Taxって難しそう」と感じるかもしれません。ですが投資家の声では「やってみたら意外とシンプルだった」という感想が目立ちます。自宅から24時間いつでも申告でき、還付金の振込も紙提出より早いのが特徴です。
紙で提出すると還付金の振込に1〜2ヶ月かかることがあります。e-Taxなら約3週間で振り込まれるとされています(国税庁Webサイトより)。慣れれば30分程度で完了するので、順番に見ていきましょう。
STEP1: 確定申告書等作成コーナーにアクセス
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、「作成開始」から「e-Tax(マイナンバーカード方式)」を選びます。
STEP2: マイナンバーカードでログイン
スマホでマイナンバーカードを読み取るか、ICカードリーダーを使ってログインします。マイナポータル連携(マイナンバーカードを使って各種証明書を自動取得できる仕組み)も利用できます。使えば一部の情報が自動入力されることもあります。
STEP3: 給与所得と雑所得を入力
会社員の方は、源泉徴収票を見ながら給与所得を入力します。次に「雑所得(その他)」の欄で、以下の情報を入力してください。
| 入力項目 | 入力内容 |
|---|---|
| 種目 | 「分配金」と入力 |
| 収入金額 | 年間取引報告書の「分配金合計額」 |
| 必要経費 | 通常は0円 |
| 源泉徴収税額 | 年間取引報告書の「源泉徴収税額」 |
| 所得の生ずる場所 | サービス運営会社の名称・住所 |
複数のサービスを利用している場合は、サービスごとに入力を繰り返します。合算して1つにまとめると後で確認しづらくなるので、サービスごとに分けて入力するのが確実です。
STEP4: 控除の入力と内容確認
社会保険料控除や生命保険料控除など、該当する控除があれば入力します。すべて入力し終えると、所得税額と還付金(または納付額)が自動計算されます。
STEP5: 申告書の送信
内容を確認し、マイナンバーカードで電子署名をして送信します。受付完了のメッセージが表示されれば手続き終了です。
確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日までですが、還付申告(税金が戻ってくる申告)は1月1日から提出できます。通販の早割りのように、早く申告するほど還付金も早く届きますよ。HEDGE GUIDEの記事でも「1月に申告して2月15日に振り込まれた」という投資家の声が紹介されていました。
Q. マイナンバーカードがない場合は?
A. ID・パスワード方式でもe-Tax申告が可能です。ただし事前に税務署で本人確認を行い、ID・パスワードを発行してもらう必要があります。この手間を考えると、マイナンバーカードを作っておくほうが長期的には便利でしょう。
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会社員の年末調整と確定申告の関係
「不動産クラファンの分配金は、年末調整で処理できないの?」と思う方もいるでしょう。結論から言うと、年末調整では対応できません。
年末調整は、会社が従業員の給与所得に対する所得税を精算する仕組みです。たとえるなら、年末調整は「会社の給料専用の精算窓口」。クラファンの分配金は雑所得という別の窓口、つまり確定申告で処理する必要があります。
計算例で理解する:年収500万円、分配金15万円のケース
年収500万円の会社員Aさんが、不動産クラファンで年間15万円の分配金を得たケースで考えてみましょう。
分配金15万円から源泉徴収20.42%が差し引かれ、実際に手元へ届くのは約11万9,370円です。
Aさんの分配金は20万円以下なのでケースAに該当し、確定申告は不要です。ただし住民税の申告は必要なので、市区町村の窓口で分配金15万円を申告してください。
もしAさんがあえて確定申告をすると、源泉徴収された20.42%との差額が数千円程度還付される可能性があります。「やるかやらないか」は、手間と相談して決めるとよいでしょう。
ふるさと納税との関係にも注意
確定申告をする場合、ふるさと納税のワンストップ特例(確定申告なしでふるさと納税の控除を受けられる制度)は無効になります。ふるさと納税の寄付金控除も、確定申告の中でまとめて申告する必要があるので覚えておきましょう。
よくあるミスと対処法
確定申告でよくあるミスをまとめました。「自分は大丈夫」と思っていても、意外とやりがちなので確認してみてください。
源泉徴収税額の入力漏れ
分配金はすでに20.42%が源泉徴収されています。この税額を入力し忘れると、還付されるはずの税金が還付されません。年間取引報告書を見ながら、必ず入力しましょう。
20万円の判定基準の勘違い
20万円の基準は「源泉徴収前の金額」です。手取りではなく、差し引かれる前の金額で判断してください。手取りで18万円でも、源泉徴収前は約22万6,000円になり、この場合は確定申告が必要です。
複数サービスの合算漏れ
複数サービスを利用していると、つい1つ2つ忘れてしまうことがあります。投資しているサービスのリストを事前に作っておくと安心です。
経費にできないものを計上する
不動産クラファンの雑所得から差し引ける経費は限られています。振込手数料は経費にできますが、パソコン代やインターネット料金を全額経費にするのは難しいでしょう。税務署に指摘される可能性があります。
Q. 申告後に間違いに気づいたらどうすれば?
A. 確定申告期間中(3月15日まで)なら、訂正申告として再度申告書を送信できます。訂正申告とは、期間内に内容を直して再提出する手続きです。期間後に気づいた場合は対応が変わります。払いすぎた税金は更正の請求(後から返してもらう手続き)、税額不足は修正申告(追加で納める手続き)が必要です。
Q. 確定申告をすると会社に副業がバレますか?
A. 確定申告の際に、住民税の徴収方法を選択できます。普通徴収(住民税を給与天引きではなく自分で納付する方法)にすれば、会社の給与から天引きされることはありません。副業がバレたくない方は、この設定を忘れないようにしましょう。
困ったときの相談先
書類や手続きで迷ったら、一人で悩まず専門家や窓口を頼りましょう。
- 税務署の確定申告相談コーナー: 2月〜3月の申告期間中に無料で相談できます
- 各サービスの問い合わせ窓口: 年間取引報告書の内容に関する質問に対応しています
- 税理士: 複数の所得がある、海外投資があるなど複雑なケースの相談に
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー」: オンラインで申告書を作成できる無料ツール
初めての確定申告なら、税務署の相談コーナーがおすすめです。書類を持参すれば、職員が一緒に申告書を作成してくれます。
まとめ:確定申告は立場と金額で判断しよう
不動産クラファンの確定申告について、判断基準から手続きまで解説しました。
この記事のポイント
- 会社員・年金受給者は、給与等以外の所得が20万円以下なら確定申告不要
- 20万円の判定は複数サービス・他の雑所得も合算する
- 確定申告が不要でも住民税の申告は必要
- 分配金は雑所得として「総収入金額-必要経費」で計算する
- 年末調整では処理できず、必要な場合は確定申告で対応する
- e-Taxを使えば自宅から24時間、30分程度で申告できる
「20万円以下だから何もしなくていい」と油断せず、住民税の申告を忘れないようにしましょう。所得税率が低い方は、あえて確定申告をすることで還付を受けられる可能性もあります。
確定申告の全体像は「不動産クラファンの税金・確定申告完全ガイド」で詳しく解説しています。分配金が雑所得になる仕組みは「匿名組合契約」の記事をご覧ください。会社員向けのおすすめサービスは「会社員におすすめの不動産クラファン」も参考にしてください。
※この記事は一般的な手続き情報の提供を目的としており、税務上の助言を行うものではありません。
※個別の税務判断については、税理士など専門家にご相談ください。
※税制度やe-Taxの操作画面は変更される場合があります。最新情報は国税庁Webサイトでご確認ください。
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