不動産クラウドファンディング(不動産クラファン)は1万円から始められる手軽な投資手段ですが、当然リスクもあります。この記事では、5つの主要リスクと具体的な対策を、過去の事例を交えて解説します。
【結論】主要リスクと対策の全体像
まずは結論からお伝えしましょう。不動産クラファンには5つの主要リスクがありますが、正しく理解して対策すれば過度に恐れる必要はありません。
| リスクの種類 | 概要 | 主な対策 |
|---|---|---|
| 元本割れリスク | 投資した金額が減って戻ってくる | 優先劣後比率20%以上の案件を選ぶ |
| 償還遅延リスク | 予定通りにお金が返ってこない | 運用期間を分散して投資 |
| 事業者リスク | 運営会社の経営悪化・倒産 | 上場企業や実績のあるサービスを優先 |
| 流動性リスク | 途中で解約できない | 余裕資金の範囲内で投資 |
| 市場リスク | 不動産市況の変動による影響 | 複数の物件タイプ・地域に分散 |
「リスクがある」と聞くと不安になるかもしれません。でも、投資である以上リスクがあるのは当たり前のこと。重要なのは、どんなリスクがあって、どう対処すればいいかを把握しておくことです。
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不動産クラファンの5大リスクを徹底解説
ここからは各リスクについて、発生メカニズムと過去の事例、対策を詳しく見ていきます。
1. 元本割れリスク|投資した金額が減って戻ってくる
不動産クラファンは元本保証がありません。不動産価値が下落したり、売却がうまくいかなかったりすると、投資額の一部が戻ってこない可能性があります。
元本割れが起きる仕組み
不動産クラファンのファンドは、多くが「匿名組合型」という契約形態を採用しています。投資家は運営会社に出資し、その資金で不動産を取得・運用。運用終了時に物件を売却して投資家に償還されます。
このとき、物件の売却価格が取得価格を下回ると、投資家に返せるお金が減ってしまう。これが元本割れです。
過去に元本割れは発生している?
HEDGE GUIDEの調査によると、CREALでは2024年時点で112件のファンドが運用終了し、元本割れ件数は0件とのこと。COZUCHIも同様に元本割れゼロを維持していると報告されています。
ただし、リアマネの報道では、一部のサービスで元本割れが発生した事例も紹介されています。特に2008年のリーマンショック後には、不動産市況の悪化で複数のファンドが元本割れしたという記録も。
対策:優先劣後方式を確認する
元本割れリスクを軽減する仕組みが「優先劣後方式」です。これは、損失が発生した場合に運営会社が先に損失を負担する仕組み。投資家の元本は「優先出資」として保護されます。
具体的には、劣後出資比率30%の案件であれば、物件価値が30%下落するまでは投資家の元本に影響がありません。劣後出資比率20%以上の案件を選ぶのが一つの目安です。
2. 償還遅延リスク|予定通りにお金が返ってこない
想定していた時期にお金が戻ってこない「償還遅延」は、実際に発生している事例があります。元本割れとは異なり資金が失われるわけではありませんが、資金計画に支障をきたすリスクがあります。
なぜ遅延が起きるのか
主な原因は以下の3つです。
- 物件の売却が想定通り進まない - 買い手がつかない、価格交渉が長引く
- テナントの退去遅延 - 売却のための明け渡しが予定通り進まない
- 融資の実行遅延 - 買い手側の資金調達に時間がかかる
過去の遅延事例
リアマネの報道によると、ヤマワケエステートでは一部案件で償還遅延が発生し、投資家との間で訴訟に発展したケースもあるとのこと。また、過去にはガイアファンディング、みんなのクレジットなど、ソーシャルレンディング系サービスで大規模な遅延が発生した事例があります。
不動産クラファンに限れば、大手サービスでの大規模な遅延報告は今のところ少ない状況です。とはいえ、可能性がゼロではないことは認識しておくべきでしょう。
対策:運用期間を分散する
一つの案件に資金を集中させず、異なる運用期間の案件に分散投資することで、遅延発生時の影響を軽減できます。例えば:
- 短期(3〜6ヶ月)案件:30%
- 中期(6〜12ヶ月)案件:50%
- 長期(12ヶ月以上)案件:20%
このような配分であれば、一部で遅延が発生しても全体への影響を抑えられます。
3. 事業者リスク|運営会社の経営悪化・倒産
運営会社が経営不振に陥ったり、最悪の場合倒産したりすると、投資した資金の回収が困難になる可能性があります。
事業者リスクとは
不動産クラファンでは、投資家のお金は運営会社を通じて不動産に投資されます。そのため、運営会社の経営状態が悪化すると以下のような問題が起こりえます。
- 分配金の支払いが滞る
- 物件の適切な管理ができなくなる
- 最悪の場合、資金が回収できなくなる
上場企業と非上場企業の違い
運営会社が上場企業の場合、財務情報が公開されているため経営状態を確認しやすい利点があります。上場企業が運営するサービスとしては、CREAL(クリアル株式会社・東証グロース)、Rimple(プロパティエージェント株式会社・東証プライム)などがあります。
一方、非上場でもCOZUCHIのように実績と規模を持つサービスもあり、上場/非上場だけで判断するのは早計です。過去の運用実績、累計調達額、組成ファンド数なども合わせて確認することをおすすめします。
対策:信頼できる事業者を選ぶ
事業者選びのポイントは以下のとおり。
- 上場企業または関連会社が運営しているか
- 不動産特定共同事業の許可を取得しているか
- 累計調達額・ファンド数など実績はどうか
- 情報開示が十分か(物件詳細、リスク説明など)
国土交通省のWebサイトで不動産特定共同事業の許可業者一覧を確認できるので、気になるサービスがあればチェックしておくと安心です。
4. 流動性リスク|途中で解約できない
不動産クラファンは、運用期間中は原則として途中解約ができません。急に現金が必要になっても、投資したお金を引き出せないリスクがあります。
なぜ途中解約できないのか
不動産は株式と違って「すぐに売れる」資産ではありません。ファンドが保有している物件を売却するには時間がかかるため、投資家の都合で途中で資金を引き出す仕組みを設けることが難しいのです。
一部サービスは途中売却に対応
COZUCHIでは「バイバック(買い取り)」制度を導入しており、運営会社に持分を買い取ってもらう形で途中換金が可能です。ただし、手数料がかかる点と、必ず買い取ってもらえる保証はない点に注意が必要です。
J-REIT(不動産投資信託)であれば株式市場でいつでも売買できるため、流動性を重視する場合はJ-REITとの併用を検討するのも一つの方法です。
対策:余裕資金で投資する
流動性リスクへの対策はシンプルで、「なくなっても生活に支障がない余裕資金」で投資することです。生活費や近い将来使う予定のお金を投資に回すのは避けましょう。
目安としては、生活費6ヶ月分の貯蓄を確保した上で、さらに余る資金を投資に回すのがおすすめです。
5. 市場・経済リスク|不動産市況の変動
不動産クラファンも、不動産市況や経済環境の影響を受けます。景気後退や金利上昇は、不動産価格や賃料収入に影響を与える可能性があります。
不動産市況の影響
不動産価格は景気や金利に左右されます。例えば、日銀の金融緩和終了による金利上昇局面では、不動産価格が下落するリスクがあります。また、景気後退時には空室率が上昇し、賃料収入が減少する可能性も。
2008年リーマンショック時の教訓
2008年のリーマンショック後、日本の不動産価格は大幅に下落しました。当時の不動産ファンドの中には大きな損失を出したものもあります。現在の不動産クラファンは当時とは運営スキームが異なりますが、市況悪化が収益に影響することは変わりません。
対策:分散投資でリスクを軽減
市場リスクへの対策は、分散投資です。
- 物件タイプの分散:マンション、オフィス、商業施設、物流施設など
- 地域の分散:東京都心、地方都市、海外など
- サービスの分散:複数のサービスに登録
また、不動産クラファン以外の資産(株式、債券、預金など)とのバランスも考慮しましょう。
リスクを軽減する5つの対策
ここまで見てきた5大リスクを踏まえ、具体的な対策を整理します。
対策1:分散投資を徹底する
「卵を一つのカゴに盛るな」という投資の格言は、不動産クラファンにも当てはまります。
- サービスの分散:3〜5社程度のサービスに登録
- 物件タイプの分散:レジデンス、オフィス、物流施設など
- 運用期間の分散:短期・中期・長期をバランスよく
- 地域の分散:首都圏と地方、あるいは海外を組み合わせ
ゴクラクブログの調査では、10社程度のサービスに登録して投資機会を分散している投資家もいるとのこと。登録は無料なので、気になるサービスには積極的に登録しておくとよいでしょう。
対策2:優先劣後比率の高いファンドを選ぶ
優先劣後方式を採用しているファンドでは、劣後出資比率を確認しましょう。劣後出資比率が高いほど、投資家の元本が保護されやすくなります。
目安として劣後出資比率20〜30%以上あれば比較的安心といわれています。ただし、案件ごとに異なるため、毎回確認することが大切です。
対策3:マスターリース契約の有無を確認
マスターリース契約とは、運営会社などが物件全体を借り上げる契約のこと。空室が発生しても一定の賃料が保証されるため、空室リスクの軽減につながります。
すべての案件にマスターリースがあるわけではないので、案件詳細ページで確認しましょう。特に賃料収入(インカムゲイン)型のファンドでは、マスターリースの有無が重要なポイントになります。
対策4:運営会社の財務状況をチェック
上場企業であれば決算短信や有価証券報告書で財務状況を確認できます。非上場企業でも、会社概要ページで資本金や設立年、実績などをチェックしましょう。
確認ポイント:
- 累計調達額と運用実績
- 元本割れ・遅延の発生有無
- 資本金・設立年・主要株主
- 不動産特定共同事業の許可番号
対策5:投資額は余裕資金の範囲内に
何度も強調しますが、投資は余裕資金で行うことが最も重要な対策です。生活費や緊急用の資金を投資に回してはいけません。
投資家の声を見ると「最初は5〜10万円から始めた」「生活費3〜6ヶ月分を確保してから投資を始めた」という人が多いようです。焦らず、無理のない範囲で始めましょう。
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危険なサービスの見分け方
残念ながら、すべての不動産クラファンサービスが信頼できるわけではありません。以下のような特徴があるサービスには注意が必要です。
警戒すべき3つのサイン
1. 異常に高い利回り
年利10%を超える高利回り案件は魅力的に見えますが、リスクが高い可能性があります。不動産クラファンの一般的な利回りは年利4〜8%程度。これを大幅に超える利回りには何らかの理由があると考えるべきです。
もちろん、一時的なキャンペーンや特殊な事情で高利回りになるケースもありますが、常時10%以上を謳っているサービスは慎重に判断しましょう。
2. 情報開示が不十分
以下の情報が十分に開示されていないサービスは要注意です。
- 物件の所在地・築年数・構造などの詳細
- 劣後出資比率(優先劣後方式の場合)
- 過去の運用実績(元本割れ・遅延の有無)
- 運営会社の財務情報
情報開示に積極的なサービスほど、投資家の信頼を大切にしていると考えられます。
3. 運営実績が少ない
設立して間もないサービスや、運用終了ファンドが少ないサービスは実績で判断できないため、リスク評価が難しくなります。初めて投資する場合は、累計調達額が大きく、運用終了実績のあるサービスから選ぶのが無難です。
よくある質問(FAQ)
Q. 不動産クラファンに元本保証はある?
ありません。不動産クラファンは投資商品であり、預金のような元本保証はありません。優先劣後方式など元本割れリスクを軽減する仕組みはありますが、100%保護されるわけではない点を理解しておく必要があります。
Q. 過去に元本割れしたサービスはある?
CREALやCOZUCHIなどの大手サービスでは、2024年時点で元本割れゼロの実績が報告されています。一方、リアマネ等の報道では、一部サービスで償還遅延や元本割れが発生した事例も報じられています。サービスを選ぶ際は、過去の実績を必ず確認しましょう。
Q. 最悪のケースでいくら損する?
理論上は投資額全額を失う可能性があります。ただし、優先劣後方式が採用されている案件では、劣後出資比率の範囲内であれば元本が守られます。例えば、劣後出資比率30%の案件に10万円投資した場合、物件価値が30%まで下落しても元本10万円は保護されます。30%を超えて下落した場合に初めて元本割れが発生します。
Q. 初心者でも大丈夫?
リスクを理解した上で始めれば、初心者でも取り組める投資です。最初は少額(1〜10万円程度)から始め、仕組みを理解しながら徐々に投資額を増やしていくのがおすすめ。複数のサービスに分散投資することで、リスクをさらに軽減できます。
Q. 遅延が発生したらどうすればいい?
遅延が発生した場合、まずは運営会社からの報告を待ちます。多くのサービスでは、遅延発生時に投資家へ状況説明と今後の見通しが通知されます。焦って問い合わせを繰り返すよりも、公式発表を確認しながら状況を見守るのが基本です。
まとめ:リスクを理解した上で投資判断を
不動産クラファンのリスクと対策についてまとめてきました。重要なポイントを振り返りましょう。
5つの主要リスク:
- 元本割れリスク → 優先劣後比率を確認
- 償還遅延リスク → 運用期間を分散
- 事業者リスク → 信頼できる運営会社を選ぶ
- 流動性リスク → 余裕資金で投資
- 市場リスク → 物件・地域を分散
リスク軽減の基本対策:
- 分散投資を徹底する(サービス・物件・期間・地域)
- 劣後出資比率20%以上の案件を選ぶ
- マスターリース契約の有無を確認
- 運営会社の実績・財務状況をチェック
- 投資は余裕資金の範囲内で
不動産クラファンは、リスクを正しく理解して適切な対策を取れば、少額から始められる不動産投資の有効な選択肢になります。まずは少額から始めて、経験を積みながら投資スタイルを確立していくのがよいでしょう。
不動産クラファンの基本的な仕組みについては「不動産クラウドファンディングとは?仕組み・始め方完全ガイド」で詳しく解説しています。
※本記事は情報提供を目的としており、投資の助言や推奨を行うものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。
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