不動産クラウドファンディングの募集ページで「信託受益権」という言葉を見かけて、首をかしげた方もいるかもしれません。一見むずかしそうですが、仕組みを知れば投資先の安全性を見極めるヒントになります。
信託受益権とは? 不動産の「利益を受け取る権利」
信託受益権とは、信託銀行に預けた財産(不動産など)から生まれる利益を受け取る権利のことです。「受益」は文字どおり「益(利益)を受ける」という意味ですね。
たとえ話で説明すると、こんなイメージです。あなたが果樹園を持っていたとして、その管理をプロの農園管理会社に任せるとしましょう。果樹園の名義は管理会社に移りますが、収穫された果物は引き続きあなたのもの。この「果物を受け取る権利」が信託受益権にあたります。
法律的に整理すると、信託には3つの登場人物がいます。
- 委託者 — 財産(不動産)を預ける人
- 受託者 — 財産を管理する人(信託銀行)
- 受益者 — 利益を受け取る人(投資家)
不動産そのものを直接保有するのではなく、信託銀行を間に挟むことで、権利関係が整理され、取引がしやすくなるメリットがあります。
1万円から始める不動産投資
口コミ・利回り・安全性で30社以上を徹底比較。あなたに合うサービスが見つかります
通常の不動産クラファンと信託受益権型の違い
不動産クラウドファンディング(不動産クラファン)のファンドには、大きく分けて2つのスキーム(仕組み)があります。
| 比較項目 | 匿名組合型(一般的) | 信託受益権型 |
|---|---|---|
| 投資対象 | 不動産そのもの | 不動産を信託した「受益権」 |
| 不動産の管理者 | 運営会社 | 信託銀行 |
| 倒産隔離 | 限定的 | 信託財産として保護される |
| 最低投資額 | 1万円〜 | 10万円〜が多い |
| 代表的サービス | COZUCHI、CREAL、利回りくん | ALTERNA |
最大の違いは「倒産隔離(とうさんかくり)」の有無です。信託受益権型では、不動産が信託銀行の管理下に置かれるため、運営会社が万が一倒産しても、信託財産として法的に保護されます。匿名組合型(お金を出して利益を分けてもらう契約方式)にはこの保護がありません。
ただし、信託受益権型だからといって元本が保証されるわけではないので、そこは誤解しないようにしたいですね。
不動産クラファンでの使われ方
信託受益権型のファンドを提供しているサービスとしては、三井物産デジタル・アセットマネジメントが運営する「ALTERNA(オルタナ)」が代表的です。大手信託銀行が不動産を管理し、受益権を小口化して投資家に販売するスキームを採用しています。
HEDGE GUIDEによると、信託受益権型は機関投資家(保険会社や年金基金など大口の投資家)向けの仕組みがベースになっており、個人投資家向けに小口化されたのは比較的最近のこと。そのため、匿名組合型と比べるとファンド数はまだ少ない状況です。
Q. 信託受益権型は通常型より安全?
A. 倒産隔離の面では信託受益権型のほうが有利です。運営会社が倒産しても、信託財産は法的に保護されるためです。ただし、不動産の価値が下落して元本割れするリスクは匿名組合型と変わりません。「運営会社リスク」と「不動産リスク」は別物と考えてください。
Q. 税務上の扱いは変わる?
A. 信託受益権型でも、投資家が受け取る分配金は雑所得(給与や事業以外の「その他の所得」)に分類されます。源泉徴収20.42%が差し引かれる点も同じです。税務上の違いはほとんどないと考えて大丈夫でしょう。
関連する用語
匿名組合契約 投資家がお金を出し、事業者が運用して利益を分配する契約形式。不動産クラファンの主流スキーム。詳しくはこちら 倒産隔離 運営会社が倒産しても投資家の資産が守られる仕組み。信託受益権型の大きなメリット。 優先劣後方式 損失が出た場合に運営会社が先に負担する仕組み。信託受益権型でも併用されることがある。詳しくはこちらその他の投資用語は「不動産クラファン用語集」で確認できます。
※本記事は情報提供を目的としており、投資の助言や推奨を行うものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。
どのサービスを選べばいい?
投資スタイルに合ったサービスを1分で診断