稼働率は、不動産投資で物件の収益力を見極めるための基本指標です。不動産クラウドファンディング(不動産クラファン)の案件選びでも、この数値が想定リターン(期待できる収益)に直結します。
この記事では、稼働率の意味・計算方法から、案件評価での具体的な読み解き方までを解説します。
稼働率とは?入居率との違い
稼働率とは、賃貸物件の総戸数(または総面積)に対して、実際に入居・利用されている割合のことです。英語では「Occupancy Rate(オキュパンシーレート)」と呼ばれます。
「入居率」とほぼ同じ意味で使われることが多いですが、厳密には少し違いがあります。
- 入居率:住居系物件で、実際に入居者がいる戸数の割合
- 稼働率:オフィスや商業施設も含めた、テナントが入っている割合
不動産クラファンの案件情報では、どちらの表記も見かけるでしょう。本質的には「どのくらい部屋が埋まっているか」を示す指標と理解しておけば問題ありません。
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稼働率の計算方法
計算自体はシンプルです。たとえるなら、学校の教室で「席が何割埋まっているか」を計算するのと同じ考え方ですね。
稼働率(%)= 入居中の戸数 ÷ 総戸数 × 100
戸数ベースの計算例
全20戸のマンションで18戸が入居中の場合:
稼働率 = 18 ÷ 20 × 100 = 90%
面積ベースの計算例
オフィスビルなど区画面積がバラバラな物件では、面積ベースで計算するケースもあります。
総貸室面積500㎡のビルで、420㎡がテナント利用中の場合:
稼働率 = 420 ÷ 500 × 100 = 84%
不動産クラファンでは戸数ベースの記載が多いですが、案件によっては面積ベースの場合もあるかもしれません。どちらで計算されているか確認しておきましょう。
稼働率の目安はどのくらい?
稼働率は物件タイプや立地によって大きく異なります。ここがポイントなので、目安を表にまとめました。
| 物件タイプ | 稼働率の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 都心マンション | 95〜98% | 需要が安定しており高水準を維持 |
| 地方マンション | 85〜95% | エリアや築年数で差が出やすい |
| 都心オフィスビル | 90〜97% | 景気に連動する傾向あり |
| 商業施設 | 80〜95% | テナントの業態や立地に左右 |
| 物流施設 | 95%以上 | EC需要を背景に高稼働が続く |
三鬼商事の調査によると、2025年の東京都心5区のオフィス空室率は約4〜5%台でした。つまり稼働率にすると約95%前後です。
コロナ禍で一時上昇した空室率も、徐々に回復傾向にあるとのこと。物件タイプによって目安はかなり違うので、比較の際は同じ種類どうしで見るようにしましょう。
不動産クラファンでの稼働率の見方
不動産クラファンの案件を選ぶうえで、稼働率はどう活用すればよいでしょうか。具体的なチェックポイントを見ていきましょう。
案件詳細で確認すべきポイント
多くのサービスでは、案件詳細ページに「想定稼働率」が記載されています。この数値を見る際は、以下の点に注目してください。
- 現在の実稼働率 — 「想定」ではなく「実績」として今どのくらい入居しているか
- 想定稼働率の根拠 — 95%を想定するなら、過去実績やエリア相場との整合性
- 稼働率が下がった場合の影響 — 想定より5%下がるとリターンがどう変わるか
想定稼働率とリターンの関係
稼働率は想定リターンに直結します。簡単なシミュレーションで確認してみましょう。
年間満室想定賃料が1,200万円の物件の場合:
| 想定稼働率 | 年間賃料収入 | 差額(満室比) |
|---|---|---|
| 100%(満室) | 1,200万円 | — |
| 95% | 1,140万円 | ▲60万円 |
| 90% | 1,080万円 | ▲120万円 |
| 85% | 1,020万円 | ▲180万円 |
稼働率が5%下がるだけで年間60万円の減収です。「たった5%」と思うかもしれませんが、配当原資は賃料収入がベース。稼働率の変動は投資家のリターンに直接影響するでしょう。
マスターリース契約と稼働率
一部の不動産クラファン案件には「マスターリース(物件全体を事業者が借り上げ、空室リスクを軽減する契約形態)」が付いています。これは運営会社が物件を丸ごと借り上げて、空室の有無にかかわらず固定賃料を支払う仕組みですね。
マスターリースがあると、実際の稼働率が下がっても投資家への配当は安定しやすいメリットがあります。
ただし、マスターリース料は通常の賃料よりやや低めです。そのぶん利回り(投資額に対する年間リターンの割合)も控えめになる傾向がありますね。
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稼働率を左右する要因
稼働率が高くなる条件と、下がりやすい条件を整理しておきましょう。難しく感じるかもしれませんが、日常の「お店選び」と同じ感覚で理解できます。
稼働率が高くなる要因
- 駅近・好立地 — 徒歩10分以内は需要が安定
- 適正な賃料設定 — 周辺相場に合った価格
- 管理が行き届いている — 清掃・修繕・設備メンテナンスの質
- 需要の多いエリア — 人口増加地域、大学・企業の近く
- 適切な間取り — エリアの需要に合った部屋タイプ
稼働率が下がりやすい要因
- 築年数の経過 — 設備の陳腐化、競合との差
- 人口減少エリア — 需要そのものが縮小
- 周辺に新築物件が増加 — 競合激化
- 景気の悪化 — オフィス・商業施設で顕著
- 賃料が相場より高い — 空室が埋まりにくい
よくある質問(FAQ)
Q. 稼働率100%の案件は安全ですか?
現時点で満室だからといって、今後もずっと100%が続く保証はありません。テナントの退去リスクは常にあります。
むしろ「現在100%で、過去3年間も95%以上を維持」といった実績のほうが参考になるでしょう。短期的な数値だけでなく、推移を確認してみてください。
Q. 想定稼働率が低い案件は避けるべき?
一概には言えません。稼働率が低めに設定されていても、保守的な見積もりの結果であれば、むしろ堅実な運用が期待できます。
逆に、稼働率98%想定でギリギリの利回りを出している案件のほうが、下振れリスクは大きいかもしれません。
Q. 空室率と稼働率の違いは?
空室率は稼働率の裏返しです。空室率 = 100% − 稼働率で計算できます。稼働率95%なら空室率5%ですね。
不動産業界のレポートでは空室率のほうがよく使われますが、不動産クラファンの案件情報では稼働率表記が一般的です。
Q. 不動産クラファンで稼働率が開示されていない場合は?
案件によっては詳細な稼働率が開示されていないこともあります。その場合は、物件の立地や築年数から周辺相場の稼働率を推測してみてください。
サービスの運用実績レポートを確認するのも有効でしょう。情報開示が充実しているサービスを選ぶのも、リスク管理のひとつですね。
まとめ:案件選びで稼働率を見逃さない
稼働率は、不動産投資の基本中の基本でありながら、見落とされがちな指標です。
この記事のポイント:
- 稼働率 = 入居中の戸数 ÷ 総戸数 × 100
- 都心マンションで95%以上、地方で85〜95%が目安
- 5%の稼働率低下でも年間数十万円の減収につながる
- マスターリース付き案件は稼働率リスクを軽減できる
- NOIとセットで確認すると収益見通しが立てやすい
不動産クラファンの案件情報を見るとき、利回りだけでなく「想定稼働率は妥当か?」という視点も加えてみてください。
関連指標のNOIについては「NOI(純営業収益)とは?計算方法とキャップレートとの関係」で詳しく解説しています。
※本記事は情報提供を目的としており、投資の助言や推奨を行うものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。
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